晩秋の水戸の「もみじ谷」に行きました。
落ち葉の絨毯もシャカシャカ乾いていましたが、
急に雨が降ると、曇り空から光りに変わり、湿った空気がとてもきれい。
滑りこみセーフで
遠い観光地にたどり着いたかのようでした。
ここが、僅か南町のお店から車で10分ほどだったとは、
来年はひそかに毎日通わなくてはなりませぬ…。
静かな場所から帰ってくると、
身体中が軽くなるから不思議です。
理屈を超えた世界…があるのでしょうか。
心身を洗濯されると、
ふと、お客さんから借りている本、
加島祥造さんの本を
開いてみたくなりました。
信州の伊那谷というところに独居している89歳の加島氏、
もみじ谷効果なのか、どのページも、「来るー!」と
目から脳から心から血液まで、
ライブで紅葉(高揚?)してしまう。
(本文から、少し抜粋します↓)
「いまの私は、良い環境に恵まれて老年を過ごしているが、
時には恐怖や、疑念の念がきざす。
時には腹立たしさや、悲しみに落ちる。
しかしそこから回復するには、「いい感情」をもつことだ、それが一番いい方法だ、と自覚するようになった。
それには自分がいまどんな感情にいるのかを
意識しなければならない。
たとえば朝のお茶の一刻は
その自覚と意識をはっきり私に伝えてくれる。
以前の私はただその場の感情に無自覚に動かされるだけだった…。」
「うまさ、とは 実は生命力だ。
口にした時に、うまいと感じるのは、
うまさが生命(いのち)に繋がっているからだ。
田舎の自然の豊かな地で採れた野菜や果物がうまいのは、
生命力がみなぎっているからで、
加工食品がうまくないのも生命力にかけるからといえる。
うまいと感じることが生命に繋がっていると気づくと、うまさへの認識が変わる。」
うまさへの認識…。
うまいところつくなぁ~!と思います。
極上の写真と文章に
反芻されていく。
繰り返し味わいたい本と出逢えました。
(淡交社、加島祥造「ひとり」より)