Aplaudoのブログ

ハンドメイド作家さんの作品を扱っている、茨城県水戸市南町3丁目のAplaudo(アプラウド)です。アプラウドの2階は、ギャラリー誉(よ)りみちです。

クマにあったらどうするか

最近読んだ本、
クマにあったらどうするか・・。です。


え?、(笑)といっても、 私達が、
今更もう野生のクマに遭うということは、
一生のうちに、一度あるか無いか、
( いやこの辺りではほぼ無さそうですね)
もう想像上の体験 だけかも知れません。


イメージ 1



なのですが、テディベアのような
可愛い表紙のイラストに出会い、
アイヌ民族最後の狩人 」が 語り手というところに惹かれ、手にしました。


「クマは自分にとってのお師匠さん」とする、
アイヌ民族の狩人、
姉崎 等(あねざき・ひとし)さんが、

読者目線から聞き書きする、
筆者の片山 龍峯(かたやま・たつみね)さんの 質問に対して、
やさしく、丁寧に繰り返し答え、
まとめられてます。


タイトル通りの、
もし、クマに出合ってしまったら
の対処法は、面白くて実践的です。

(絶対に逃げてはいけない、にらめっこすること&大声で威嚇するのがよい、
腰を抜かした状態、がよいそうです。
そして、細長いものをひきずり、
静かに離れるなど。)


また、クマと出合わないための
予防対策についても、
(ペットボトルをペコペコ押しながら
鳴らして歩くなど。)
裏付けのエピソードが 随所随所に、
たくさん散りばめられて、
山登りや山菜採りをしない私も
いつの間にか
興味の森にそそられていきます。


なにしろ、クマさんは、自分達が、
人間どもから襲われたら
クマるだろうと勘違いするゆえに、
恐怖心で追いかけてくるらしいのです!


本来のクマは、実は平和主義で、
人間ことが好き。
ひそかに大好きなのだそうです。!
だけど弓矢や、鉄砲、クレーン車など、
道具を巧みにあやつる人間の存在は
クマからみれば脅威そのもので、
なるべく人間に気づかれないようにと
身を隠して、そばで
静かに暮らしているようなのです。
なんだか、律儀です。。!
そういう性格の知られざる謎を、
クマの気持ちで解き明かすのは
凄いと思いました

といっても、中には
非常に危険なクマもいて、
その見分け方や
対処方法も記載されています。



クマ猟とは、常に、命がけであるはず。
なぜ、アイヌ民族にとっては、
ヒグマを狩猟することが、
=「神様を家に招待すること」なのか。
また、ヒグマをキムンカムイ(山の神)として敬ってきたのか、
森の動物たち、カラス、フクロウ、イタチ、キツネ との協力。
そのアイヌ伝承の歴史なども。



私の知らない森や里山は、
人間時間とはあきらかに別時間で、
驚きとともに、
なんだかわすれかけていた
豊かな気持ちが滲み出てきました。

日常の些細なことに馴れてしまった自分。
対話形式の本なので
一気にどんどん読んでしまいました



クマの冬眠について、、
冬眠前に、お尻にウンチでフタをするという「止め糞(とめふん)」など、
ワラエナイようなクマの
見事な知恵ぶりが、上回り、
理にかなっています。それは、
姉崎さんが、徹底した実証主義で、
クマの 腸の中身を、
猟の仲間がいないときに、
クマなく、観察する性格だから‥‥




2002年に刊行されている本です。
姉崎さんと片山さんが、
すでにこの世を去っていることが
寂しくもありますが、こうした
素晴らしい本を後世のため
遺していかれて、
感謝の念が湧いてきます