明日とあさってはアプラウド定休日です。
宜しくお願いします。
イエメン
1993年、今から30年前ですが、私はカナダの東側の首都、トロントに独り旅に出ていました。
トロントは人種の‘るつぼ’で、バスに乗れば肌の色、髪の色、目の色、服装が様々で、
毎日車中では目をキョロキョロさせては、
南米や、ヨーロッパ、アジア、アフリカ人といった学生がいた小さな学校では、
机を寄せ合い学んでいたことを思い出します。
数ヶ月たったころのある日のことでした。
クラスメイトのハニーと呼ばれていた学生が、
忽然と、いなくなってしまったのです。
声が高くて瞳の大きい、少しシャイなイエメン出身の男子学生でした。
ハニーの仲良しのサウジアラビア男子が言うには、
「ハニーは、内戦が始まったから、イエメンに帰ってしまったんだ。」と…!!
その後の学期末までの半年間、ハニーは本当にもう現れませんでした。
「内戦が?。始まった…?」。
その時私は、今まで生きてきた日本では、全く耳にもしないワードが若い心の中枢に刺さって
受けた衝撃の強さは、今でもリアルな感覚がします。
しかし、あれからもう随分時が流れてしまいました。
30年も経ってしまいました。
今のイエメンはというと、いまだにまだずっと、内戦が続いています。
2015年以降、イエメンは、サウジアラビアとイランとの代理戦争の犠牲地となっているようです。
現在、ひたひたと黒い影が急に迫って来ている状況下で、今更ながら、ハニーのあの時の気持ちと、
その後の彼の人生はどうなったのだろうかという疑問が湧き起こっています。
そして今までナァナァと生きてきた私自身が何少し恥ずかしくなる…
「絶え間ない内戦」の渦中、
彼の国の若者の声を聞きたいと思い、
手にした本の中を 記録します。
・WE HAVE A DREAM 201カ国202人の夢×SDGs より。
p394のイエメン人、24歳男性の言葉。
「祖国に笑いを取り戻す。
私の愛する祖国では絶え間ない内戦が続いています。
けれど、国際社会はこの美しい地に平和をもたらす努力をほとんどしてきませんでした。
私の夢、それは祖国が立ち直り、平和な国という失われた栄光を取り戻すこと。
世界は人々が共存する村であると気づかなくてはなりません。
世界中の政治のリーダーは、自分たちの利益のことしか考えていません。私は政治活動を研究してきました。
すべては私たちの態度から始まると確信しています。私たち全員に、称賛したくなるような地域社会をつくる責任があります。
今まで他国によるイエメンへの介入は軍事的なもので、
罪のない民間人に死をもたらしただけでした。
武力では世界を解放できません。
かつてイエメンは、〝幸福なアラビア〟の地と呼ばれていました。私らイエメンの若者たちの存在こそがこの国を支えると信じています。
だから、今後も紛争解決について学び続け、
若者たちが、社会での役割を全うできるよう鼓舞したいと思います。…故郷に、笑いと幸福を取り戻すために。」
世界がどうか穏やかな方向へ。
恐ろしい殺りくが止まりますように。