お店に見える方から、よく、
一点一点すべて違う「個性的な作品」がありますね、とか、
作家の個性や表情が出ていますねなどと言われます。
私も作品を見てお客様とお話するとき、
つい「個性」という言葉を借りてしまいますが、
よく考えてみると
わかるような、どうもあまりピンとこないような表現ですよね。
「自由からの逃走」という本に、
この釈然とはいかない「個性」が説明されていました。
少し抜粋してみます。
人間が周囲の自然や
人間たちから分離した存在として自己を自覚するときに始まり、
原始的な絆から次第に脱出していく過程のことを
「個性化の過程」というそうです。
個性化の過程は自動的に起こるけれど、
「自我の成長」は自動的ではない。
自我の成長は、
個人的社会的な理由で
いろいろ妨げられてしまう。
この二つの傾向のズレが、
孤独と無力を生み出してしまうのだと…。
(しかし、無力さは、「発達の生まれてくる根底」でもある。)
すべての人間との積極的な連帯と、
愛情や仕事という自発的な行為のみが、
個別化した人間を世界に結びつけるのに、
ただ一つ有効な解決方法だと書かれていました。
70年以上も前に書かれた本だとはとても思えず、展開が預言者のよう…。
わかりにくいところも沢山ありますが
にんじり?腰をすえて読んでみたいです。
(エーリッヒ・フロム著、「自由からの逃走」東京創元社)