Aplaudoのブログ

ハンドメイド作家さんの作品を扱っている、茨城県水戸市南町3丁目のAplaudo(アプラウド)です。アプラウドの2階は、ギャラリー誉(よ)りみちです。

ユキコさんのダイアリー

水戸市に住んでいるイラストレーター、辻友紀子さんのダイアリーを紹介させていただきます。

………………………………………………………………………………………
【 くやしい 】

くやしいよ。 新しく在宅用の呼吸器に変わってから、不調だ。呼吸器を外す練習もきのうは やっとのおもいで3時間がんばったけど、そこで中断になってしまった。

今日も酸素数値が下がって苦しくなって、ほんのすこししかできなかった。いつもは医師の判断で中止になるけど今日はどうしょうもなく 自分で練習中断を頼んだ。 はじめ医師が「無理しない
で呼吸器をつけていいんだよ」といってくれた時は、首をふった。医師が去って、がんばったけど不調は続き、父が「今日はやめようか?」と言ってくれた時 泣きながら 首をふった。がんばりたかった。でも
苦しくて、呼吸器をつけてくれるよう伝えた。

涙目の私を見て、「涙がでるくらい苦しかったのかな?」と看護婦さんはいったけど、父が「いや、くやしいんですよ」と私の気持ちを言ってくれた。

くやしい。 くやしい。

がんばりたかったのに!!! がんばれなかった 自分でストップをかけた。うわーと声をあげて泣きたかったけど それもできず、だまって泣いた。

でも 明日がある。

友人が 星野富弘さんの詩画集を送ってくれて 見ていた。おととしの秋に親友とふたりで 星野さんの個展にいったことを思い出した。あのときよりベットで絵を描く星野
さんの気持ちが少し 分かった気がしている。 前は「星野さんみたいだね」って自分が絵を描く事を 言われたことあって、うれしくなかった。

星野さんの詩に「命がいちばん大事だと思ってたとき、生きるのが苦しかった。命より大事なものがあると知って、生きることがうれしくなった」 という 内容のものがあった。 命より大事なものって
何だろう、分からない。みんなはどう思う?? 愛情かなあ。それは命つきても残っていくから、私は命がかけがえないし、生きてるのが苦しいけど、うれしいよ。

メールありがとう。 いつもありがとう。 負けたくない。

みんなは元気かな? いつでも ちょっと心配して、元気なようにと 祈ってるよ。

2008 2.21 ゆき

*

これは、約2年前の、わたしの友人たちへの手紙です。・・・手術したころから、わたしがベットで仰向けになって書いた、友達への手紙を、父が代わりにパソコンからメールで送ってくれました。父がわたしの文章を読み、判別できない文字はわたしに確認、帰宅してから自宅から伝言でみんなに送信してくれました。嬉しいとき、苦しいとき、「みんなへ」の手紙を書き続けました。

手紙のなかにある、「命より大事なもの」について、みんなからは、いろいろな返事が来ました。退院したあとも、友人たちから、このときの話が折にふれて、出ます。

*

最近、『いのちへの対話 露の身ながら』という本を、読みました。あまり本を読まなくなった、わたしですが、アプラウドさんのこうじさんがわたしにとプレゼントしてくれたのです。免疫学者の多田富雄さんと、遺伝学者の柳澤桂子さんの、それぞれの病とつきあいつつの、往復書簡の本です。

多田さんは、脳梗塞で倒れられ、声を失い、半身不随となりました。多田さんの文のなかで、心に残った言葉があります。それは、冒頭の、

「訴えようとしても言葉にならず、叫ぼうとしても声にならない。手で表現しようにも体は動かない、」
「生きることとは苦しみの連続であることを思い知らされました。自殺を考えたこともしばしばでした。…でも、懸命に看護している妻や娘を思えば、死ぬわけにはいかない、自分の命は自分だけのものではないことを、こんなに実感したことはありません。生・死はひとりだけの所有物ではない。愛する者と共有し、いつも共鳴しているものであると強く感じたのです。」

という内容の文章でした。

「命より大事なもの」…、それは、ひとりで生きるのではなく、自分の周りのひとたちと共有し、共鳴すること、なのかなぁ…と感じました。

今日は看護師さんにお願いして、救急車の出入り口の近くにある、桜の木を、カニューレ交換の直前に、ちょっとだけ、観に行きました。入院中、「病院内に桜があるのは、ここだけだよ」って、母からいつも話を聞いていた桜です。まだ赤いつぼみでした。

待ち遠しいけど、今年も桜がまた咲くね。

もう4月だね。こんなに元気になって、迎える春☆

そして、その春も越えて、生きたいのです。

病気にまつわることは、わたしをときどき苦しくさせるけど、また、そこからが、出発だっっ!!と思うのです。

ただ、ただ、強くなりたい。

いつもありがとう。

友紀子
………………………………………………………………………………………

ユキコさんを思うと、雨上がりに虹を見つけたときみたいに、みずみずしい気持ちに抱かれていきます。心が裸ん坊になっていく…。

そしてビッグニュース!
ユキコさんがイラストを手懸けた本が間もなく発売になるそうです。
早く、早く…!待ち遠しいなぁ
詳細はユキコさんのブログでどうぞ↓

http://ameblo.jp/yuki-usako-pocketstory/